先日発表されました《音卿の精霊龍ラフルル・ラブ/「未来から来る、だからミラクル」》。
史上初、上面下面両方が多色のツインパクトカードです。
かのプレミアム殿堂カード《音精ラフルル》の帰還を思わせる強烈なクリーチャー面。それに加えて唯一性の高い呪文面。どの要素を切り取ってもまさに次弾の大目玉でしょう。
下馬評を見ると、全員お口あんぐりで評価どころではありませんでした。分かりやすく壊れたカードは久々ですね。
今回は、このカードのスペックを細かく冷静に分析している文言を見つけられなかったのでかわりにおれがやります。
やれ「壊れ」だの「強すぎ」だの「デュエマサ終」だの、そんな一言で片付けられない程に現代DMは複雑に絡まってます。
本当に《ラフルル・ラブ》は強すぎるのか、壊れカードなのか。
現競技環境における強さも踏まえて考えていきましょう。
カードの効果をおさらいします。
この通り。
このカードを運用する上で考えなくてはならないのが革命チェンジ元と下面呪文と噛み合いのいい何かしらでしょうか。
前者については、《カツキング》がまず筆頭でしょう。ボード処理&呪文ロック、かつ手札に《カツキング》が帰ってくる。
革命チェンジの強いとこ活かしまくりの神ギミックですね。
《カツキング》が恒久的に後続を拾い続ける所を見るにただただ《カツキング》がすごいんだなと思わざるを得ません。
また、革命チェンジ元として注目された《サンブレードNEX》の値段が上がったらしいですね。ドレミ団の革命チェンジ元として単体運用最軽量の《サンブレードNEX》ですが、実際使ってみると事実上の1点ブレイクなこともあってスペルロックで稼いだターンで勝ちきれるかというと不安が残るように感じました。
ゲーム中盤に革命チェンジで繰り出される《ラフルルラブ》には《ミラダンテXⅡ》ほどのパワーがないため、火力を楽にアシストしてくれる存在が欲しくなります。現代DMには《ヒャクメ4》や《カツキング》のような優秀なクリーチャートリガーがいるだけでなく、【赤単我我我】のようなスペルロックをものともしないデッキも存在します。スペルロックの過信は禁物です。
革命チェンジ元として、ここでピックアップしておきたいのがもっと軽い龍たち、《煌龍星サッヴァーク》や《code;1500》、《タイム3シド》辺りでしょうか。他とのシナジーを形成できる+《ラフルルラブ》にチェンジ可能、みたいな役割を多く持てるカードがあればいいですね。
前者2つに関しては、レクスターズの種族も活かすことができれば御の字でしょう。
革命チェンジ以外にも、《ドラゴンズサイン》や《終幕》などの方法で踏み倒す機会もありそうです。
また《ラフルル・ラブ》を呪文メタ要員に落とし込んで、あくまでおまけに使うことができる存在として《ミラダンテSF》や《雷龍ヴァリヴァリウス》があります。
《ミラダンテSF》は隣に《ラフルル・ラブ》を添えつつ3点切り込み、そのまま次ターンのリーサルすら作れる、いわゆるデザイナーズ寄りのコンボです。この場合、革命チェンジ元等の足回りの工夫が必要になりそうです。
《雷龍ヴァリヴァリウス》は僕のイチオシなんですが、《ヴァリヴァリウス》が革命チェンジ元になる、自身効果で《ラフルル・ラブ》踏み倒せる、早期着地が狙える、他カードと組み合わせやすい、などなど様々な役割を持てるのが素晴らしいです。
《ラフルル・ラブ》をおまけで使える、かつ無くても多彩な選択肢を持つため柔軟性にも優れている。この点でいつかの5cヴァリヴァリウスのようなデッキタイプも日の目を浴びることになってもいいのではないかと思ってます。《ヴァリヴァリウス》→《ザーディクリカ》→《だからミラクル》→(宇宙の果て)みたいなこともしたいですね。
次に下面について考えましょう。
3ドロー&5以下のスペル起動、とこっちはこっちでめちゃくちゃ強いですね。
どこか《チェンジザ》を彷彿とさせます。
このスペル起動に色指定がないのが面白く、ドローしてから状況に応じて様々なスペルを選ぶことができます。
こいつから《ネイチャー》打てるんですよ、意味不明ですね。
また、下呪文は《ベガス》《ミラダンテSF》から起動可能なところを踏まえると《ラフルルラブ》をフル活用しようとするとこの辺のカードが採用されるんじゃないかなと思います。
上面は呪文ロック、呪文ロックが要らないのであれば下面でボードに触ったりリソース伸ばしたり、という具合で《ミクセル/ジャミング》と似た意味合いで腐ることの少ない1枚が完成していると感じました。
そして、そんなスーパーカード《ラフルル・ラブ》ですが、今週末いきなりポンと渡された時にどう使うことになるのか、色々考えていきます。
まず既存のデッキに差し込む案として、主な採用先が【シータ(リース)閃】ような《ドギラゴン閃》、もしくは【5c】に差し込む人もいるかもしれませんね。
《カツキング》の存在を加味して【シータ閃】にいれようとしてる人が多いだろうと考え話を進めます。無からデッキを作り上げることは今は考えません。誰か作ってください。
・《ラフルル・ラブ》をシータに入れて起こること
・《アルカディアス》+《シャッフ》のパッケージが無くても呪文受け札を完封できる
・《カツキング》+革命チェンジのボードコントロール戦略の幅が広がる
・青白という比較的弱いカラーリングが入るため、全体的な色バランスの見直し、多色枚数の調整が必要になる
・《カツキング》以外で《ラフルル・ラブ》を有効活用しにくいため、別に相性のいい存在を模索する必要が出てくる
ざっと挙げました。
要は《アルカディアス》+《シャッフ》を取るか、もしくは《ラフルル・ラブ》+他の何者かのパッケージを取るかの構築段階での択が生じるということです。
この選択において、考えなくてはならないのが《アルカディアス・モモキング》と《ラフルル・ラブ》のどっちが"強い"のかという話です。
それぞれ性質を纏めると
《アルカディアス・モモキング》
ボード牽制可能
常在型呪文ロック
高打点
事実上の除去耐性
《ラフルル・ラブ》
cip型呪文ロック
2打点
ツインパクト持ち
基本、効果起動のため殴らなくてはならない
つまり、《アルカディアス》は呪文ロックだけでなく多少盤面に影響を与えるが、《ラフルル・ラブ》は《アルカディアス》以上の呪文ロックをかけつつ状況に応じて呪文面で対応可能という違いがある訳です。
さて、ここで思うことがあります。
「《アルカディアス》以上の呪文ロックが可能」
→《アルカディアス》+《シャッフ》で同じように対応できる。また元々《アルカディアス》や《シャッフ》が環境にいたり、その他tier上位デッキとの関係上、現環境では呪文ロックが案外そこまで重要ではない。
「状況に応じて呪文面で対応力をサポート」
→《カツキング》がほとんど同じことをしてくれている。
この2点です。それだけではなく、先ほど太字にしたように《ラフルル・ラブ》というカード呪文ロックのために殴らなくてはいけないんです。呪文が止まっていても盾を殴るのは危険過ぎます。
それ故に《ラフルル・ラブ》は間違いなく強いものの「必要なカードではない」というのが分かると思います。
シータ閃に留まらず、《ラフルル・ラブ》で永続的に呪文を止めつつ殴る動きというのはそこまで圧倒的な強さを誇る訳ではありません。
理由は《ヒャクメ4》も《カツキング》もそうですが、むしろ忘れ去られがちな新カード《ガイアッシュカイザー》の存在が大きいです。
《ガイアッシュカイザー》は見た目よりも十二分な仕事をします。コスト軽減、ボード牽制、2ドローの基礎スペックに留まらず、このカードも革命チェンジ元として使われ得るんです。
そんな怪物着地の大裏目が存在する都合上、呪文を止めるためだけに刻むのは避けたいところです。《ヒャクメ4》踏みながら《ガイアッシュ》が出てくるなんてことも珍しくないかもしれません。
《ラフルル・ラブ》で呪文を止め続けるのに裏目が多い、《ラフルル・ラブ》を着地させつつリーサルを組んで押しきるのが難しい
この点において、《ラフルル・ラブ》が強いかと言われると「意外と怪しい」という考えに至ります。
もっと極端に言えば《ラフルル・ラブ》というカードは0マナで着地するとはいっても、あくまで呪文を止めることしかできません。つまり、対面次第によってはカード自体のパフォーマンスが100になる可能性もあれば、0にもなり得る訳です。
総括になりますが、《ラフルル・ラブ》はその強烈すぎる効果故に、存在しているだけで環境内のデッキの受け札の在り方すら変えてしまう可能性があるため、効果が刺さるシーンが減る可能性すらあります。
《ラフルル・ラブ》がヤバすぎる
→環境内からトリガー呪文の採用自体が減る
→トリガーが減ったからアグロが通る
→アグロが増えすぎたからトリガーを入れなきゃいけない
→トリガー呪文は《ラフルル・ラブ》が咎める
こんな具合で強カード、デッキ達によって持ちつ持たれつの環境が形成される訳ですね。
常に《ラフルル・ラブ》が強いとは限らないというのはこういうことです。
インパクトの強すぎる効果とは裏腹に、明確に弱い場面が存在すること、採用はいつだって環境における呪文メタの必要性に依存していることをここで再認識しておくべきでしょう。
(これで何だかんだシータ閃のラフルル強すぎワロタとかになったらこっそり首吊ります)